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セドナからの処刑人・DONを拉れ!
伊集院 浩二
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あらすじ
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関東最大の広域暴力団「尊洲連合会」の企業舎弟がラス・ベガスで展開する巨大カジノ産業。その資産の凍結と営業停止に続き、現地法人のCEO、江木隆がアメリカの司法当局に拘束された。その直後、経済ミッションの一員として日本を訪れていたCIA副長官、クレイトン・カートライトが忽然と姿を消す。数日後、在日アメリカ大使宛に副長官の拉致を示唆する香港発のクーリエ便が届いた。その謎のパッケージには十二月二十四日までという期限を暗示する新聞の切抜きと、副長官愛用のカレッジリングが同封されていた。実行犯の具体的な要求と動機は伏せられたまま、諜報機関と闇組織それぞれの内部抗争が次第に炙り出されていく。
副長官を極秘裏に奪還すべく、ラングレー(CIA)は一人の優秀なエージェント、ジェニファー・ウイリアムズを日本に送り込む。彼女はウォール街の投資銀行筆頭パートナーという肩書を持ちながら、同時に医学博士という別の顔を持つスリーパー(陰の工作員)だった。そして、ジェニファーが選んだミッションのパートナーこそ、ラングレーの元工作員であり、現在はニューヨークでビジネス・ジェットを基軸とした要人警護会社を経営するブライアン・ハナオカだった。
二人は嘗てCIAの秘密代理人だった御醍醐龍太に奪還工作を委ねるべく、彼の住むアリゾナ州セドナへと向かった。御醍醐は関東興津連合会の二代目を経て、企業家として独立し、御醍醐グループの総帥となった男である。配下に「龍の四天王」と恐れられた格闘技集団を擁し、裏社会の商工大臣として勇名を馳せた元極道で、戦後の政財界を牛耳った大物右翼、金児与士男に続き、ラングレーが選んだ二人目で最後の秘密代理人だった。彼に白羽の矢を立てたのが当時ラングレーの諜報部長だった御醍醐の友人、クレイトン・カートライトである。
御醍醐は円高誘導に伴うYENの対米還流と日本企業の米国進出を水面下で支えるプロジェクトを担ってタスクフォースを結成したが、ミッション二年目に日本の裏社会が放った刺客の一弾で重傷を負い、引退へと追い込まれた。彼の体を張った代償はクレイトンにCIA副長官の座を齎し、ブライアン・ハナオカは辞職するという皮肉な結果に終ったのである。
その御醍醐が画家としてアリゾナに移った四年後に、クレイトンが拉致事件に遭遇したのだ。ラングレー始まって以来の失態事件が表面化すれば、長官の引責問題にも波及する。パーカーCIA長官はジェニファーに強権を与え、引退した御醍醐への接触を密かに誘導した。彼女ならあの御醍醐を説得出来る筈だと・・・。パーカーは御醍醐が瀕死の重傷を負った時、その命を救ったのが当時外科医だったジェニファーであることを知っている数少ない諜報部の一人だった。だが、ラングレーの中枢部に副長官の下田会議の詳しいスケジュール情報を日本の暴力団にリークした裏切り者がいたのである。その巨大な闇のベクトルは尊洲連合と同じ構図だった。つまり、主殺しを画し、玉座を狙うマクベスと足利尊氏がいたのだ。
御醍醐は三週間という短い工作期間と苛酷な条件にも拘わらず、そのミッションのオファーを快諾した。条件として、契約期間中の超法規特権とCIAの関与しないタスクフォースの人選に加え、多額な報酬を要求した。アメリカという国家は有事の際、CIA副長官はおろか、大統領といえども容赦なく切り捨てる非情で巨大な覇権国だ。それを熟知している御醍醐はミッション中、ラングレーの干渉を可能な限り避ける必要を痛感していた。代理人を監視する権限とテクノロジーはFBIや日本の公安当局にまで及ぶ筈だし、諜報機関との代理人契約は絶対的な信任を担保するものでない。彼がジェニファーに課した厳しい条件はラングレーの真意を探る踏絵でもあった。御醍醐の戦いは雇い主のラングレーに対する霍乱工作から始まったのである。下田会議に出席した副長官の拉致に、ラングレー上層部からのリークが匂ったからだ。
一方の尊洲連合会はマフィア型広域暴力団として頭角を表している日本で二番目に大きい博徒集団だ。五年ほど前から企業買収や海外進出を繰り返す他、大型投資で買収先の企業をIPOに持ち込む、いわゆる闇の投資ファンドで資産を急速に増大させていた。その天文学的な歳入は日本の国防費を遥かに上回る勢いだ。その二%にも満たない海外資産の没収に、諜報機関の副長官を拉致し、司法取引を迫るだろうか?これは下克上を企むポスト総長派が仕組んだ追落とし工作に違いない!御醍醐の動物的な嗅覚はヤクザ社会の内部抗争を瞬時に嗅ぎ取っていた。そして、彼の立案した驚くべき奪還作戦にジェニファーとブライアンは驚愕する。何と尊洲連合会の総長を拉致し、CIA副長官の生還を謀るという究極のポイゾン・ピル(カウンター・オファー)だったのだ。副長官と総長の交換は成立するのか?
想像を絶する警護システムと最先端のテクノロジーを駆使し、拉致事件に挑む御醍醐と新生「龍の四天王」たち。どんでん返しのラストまでを雄大なスケールで描くノン・ストップ諜略アクションだ!
完 |
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※文中、一部アメリカ式発音のカタカナ表記がございます。
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ウォール街からの処刑人
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