今度の「国際法務シリーズ」で取り上げる法律は、「国際法」ではなく、すべて「国内法としての日本法」です。前々回(第35回)で述べたことですが、ときには「国際なになに法」(たとえば「国際刑法」)という呼び方をすることがあっても、それはあくまでも「国内法としての日本法」の「国際的側面」を意味することに注意して下さい。それでは今度の「国際法務シリーズ」で取り上げる「日本法」には、どのような種類(分野)があるでしょうか。イギリスの思想家ジョン・スチュアート・ミルの言葉であるとされていますが、専門家はすべからく「すべての事柄について何ほどかを、そして、ある事柄についてすべてを、知るよう努力すべき(try
to know something about everything and everything about
something)」という言葉は至言です。ただし、「知るよう努力すべき」なのであって、「知っているべき」とは言っていないのです。つまり、およそ不可能であることは十分に覚悟しながら、なお「知るよう努力すべき」と言っているのです。どのような「日本法」の分野の専門家になるにしても、「すべての事柄(自分の自称専門分野以外の分野も含めて)について何ほどか」を「知るよう努力すべき」であり、「ある事柄(自分の自称専門分野)についてすべて」を「知るよう努力すべき」なのです。この意味での「すべての事柄」としての「日本法」を以下の14種類(分野)に分類することにします。
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日本法の種類(分野) |
英語訳 |
英語の略称 |
1. |
独占禁止法
(公正取引委員会) |
Antitrust Law
(Fair Trade Commission) |
FTC エフ・テー・シー |
2. |
外国為替法 |
Foreign Exchange
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F エフ |
3. |
税法 |
Tax Law |
T テー |
4. |
会社法 |
Corporation Law |
C シー |
5. |
労働法 |
Labor Law |
L エル |
6. |
証券法 |
Securities Law |
S エス |
7. |
保険法 |
Insurance Law |
I アイ |
8. |
訴訟法(仲裁法) |
Litigation
(Arbitration) |
L エル |
9. |
国防法 |
National Security |
S エス |
10. |
移民法(貿易法) |
Immigration Law
(Import/Export Law) |
I アイ |
11. |
知的財産法 |
Intellectual
Property Law |
P パ |
12. |
環境法 |
Environmental Law |
E アー |
13. |
業法(規制法) |
Regulated Business
Law |
R アー |
14. |
消費者法 |
Consumer Protection
Law |
C ク |
エフ・テー・シー、エフ、テー、シー、エル、エス、アイ、エル、エス、アイ、パーク(FTC, F, T, C, L, S,
I, L, S, I, P, E, R,
C)と記憶すると便利です。次回からは、これら14種類の種類(分野)の日本法について「何ほどかを知るよう努力 (try
to know something about everything)」しましょう。
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