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 第39回 国際法務その5: 独占禁止法

大塚 正民
大塚正民 法律会計事務所
 

この度の「国際法務シリーズ」で最初に取り上げる「法律分野」は「独占禁止法」という「法律分野」です。その中核となる法律(中核法律)は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(注1)」です。平成21年6月10日に、この中核法律が改正されました。その改正の1つに「株式取得の事前届出制の導入」があり、平成22年1月から施行される予定です。中核法律が規制している「企業結合」と言われるものには、@合併、A分割、B事業譲受け、C株式取得の4つがあります。改正前は、@合併、A分割、B事業譲受け、の3つが「事前届出」の対象とされ(注2)、C株式取得だけは「事後届出」の対象とされていました(注3)。改正後は、これら4つのすべてが「事前届出」の対象となります(注4)。改正後の「株式取得の事前届出制」を「国際法務」の観点から見ることにしましょう。まず第1は、日本法の特異的側面である「株式取得の事後届出制」が、国際的には共通な制度である「株式取得の事前届出制」に変更されます。次に第2として、日本法の国際的側面としての対内的活動に対する規制が、次のようになります。外国会社の「企業結合集団(注5)」が「ある会社」の株式を取得する場合、たとえば、アメリカの親会社の日本子会社が日本の会社の株式を取得する場合、このアメリカの親会社を頂点とする「企業結合集団」の「日本における国内売上高合計額が200億円超」であれば、原則として、「事前届出」の対象となります。ただし、その取得される株式の「発行会社およびその子会社」の「日本における国内売上高合計額が50億円以下」であれば、例外的に、「事前届出」は不要となります。最後に第3として、日本法の国際的側面としての対外的活動に対する規制が、次のようになります。日本会社の「企業結合集団」が「ある会社」の株式を取得する場合、たとえば、日本の親会社のアメリカ子会社がアメリカの会社の株式を取得する場合、この日本の親会社を頂点とする「企業結合集団」の「日本における国内売上高合計額が200億円超」であれば、原則として、「事前届出」の対象となります。ただし、その取得される株式の「発行会社およびその子会社」の「日本における国内売上高合計額が50億円以下」であれば、例外的に、「事前届出」は不要となります。

脚注
 
注1 昭和22年4月14日法律第54号。
 
注2 改正前の中核法律第15条第2項および第4項(合併)、第15条の2第2項、第3項および第6項(分割)、第16条第2項および第5項(事業譲受け)。
 
注3 改正前の中核法律第10条第2項および第4項。
 
注4 改正後の中核法律第10条第2項および第8項(株式取得)、第15条第2項(合併)、第15条の2第2項および第3項(分割)、第16条第2項(事業譲受け)。
 
注5 改正後の中核法律第10条第6項および改正後の「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第9条から第16条までの規定による認可の申請、報告及び届出等に関する規則」第2条の9。
 

 

 


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