知財問屋 片岡秀太郎商店  会員登録(無料)
  chizai-tank.com お問い合わせ
HOME 右脳インタビュー 法考古学と税考古学の広場 孫崎享のPower Briefing 原田靖博の内外金融雑感 特設コーナー about us  

 

大塚正民の考古学と考古学の広場

第52回 国際法務その18: 国際訴訟制度その2:
第2の主要な問題点としての送達および第3の主要な問題点としての土地管轄

大塚 正民
大塚正民 法律会計事務所
 

 

前回(第51回)で述べましたように、国際訴訟制度の第1の主要な問題は、「司法管轄権」です。たとえば、日本に居住している原告が、日本(原告の所在地国)の裁判所で訴訟することができるか、という問題です。現在の日本の裁判所の実務では、このような「原告の所在地国の裁判所」の司法管轄権は、原則として、認められないのですが、例外的に、認められ場合の1つとして、「離婚訴訟」があります。たとえば、日本で共同生活していた夫婦の一方(被告)が他方(原告)を置き去りにして外国へ行ってしまった場合、日本にいる原告が外国にいる被告を相手として日本で離婚訴訟することは、多分、認められるでしょう(注1)。そのような場合に、第2の主要な問題点としての送達および第3の主要な問題点としての土地管轄の問題が生ずるのです。

問題点(日本語) 英語での表現 どういう問題か
送達 Service of Process どのようにして被告に訴訟書類を届けるか
土地管轄 Venue 司法管轄権のある国のどこの土地の裁判所で訴訟をすべきか

被告が外国にいる場合には、離婚訴訟の文書(たとえば訴状)を被告に届けなければなりません。これを送達と言います(注2)。つぎに日本のどこの裁判所に訴訟を起こすかが問題となります。被告が外国にいる場合には、原則として、東京地方裁判所が「土地管轄」を有するとされています (注3)

  

脚注
 
注1 最高裁判所昭和39年3月25日大法廷判決(民集18巻3号486頁)。
 
注2 「送達」に関しては、最高裁判所事務総局民事局編「民事事件に関する国際司法共助手続ファイル」および「民事事件に関する国際司法共助手続きの手引き」を参照して下さい。
 
注3 人事訴訟法第4条第2項:人事訴訟手続法による住所地等指定規則。
 
   
   

 


大塚正民弁護士へのご質問は、こちらからお願い致します。  <質問する

  質問コーナー(FAQ)
  

ご質問は、編集部の判断によって、プライバシー等十分配慮した上で、一部修正・加筆後、サイトへ掲載させて戴く場合がございますので、予めご了承ください。
本メールの交換はすべて編集部を介して行われます。
すべてのメールには、お返事できない場合もございます。ご了承下さい。
   

 

 

 

chizai-tank.com

  © 2006 知財問屋 片岡秀太郎商店

更新日:2012/10/30