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原告(控訴人)Xは、アメリカのミネソタ州法人で、被告(被控訴人)Yは、日本の株式会社です。 |
A |
YはXに対して継続的にナイロン皮膜を売り渡していましたが、昭和62年(1987年)になって、Xは、Yから買い受けたナイロン皮膜に瑕疵があった、と主張して、Yに対する損害賠償請求の訴えをアメリカのミネソタ州の連邦地方裁判所に提起しました。 |
B |
Yは、弁護士に依頼することなく、Y本人だけの名義で、つぎのような「妨訴抗弁」を提出した上で、この訴訟に欠席しました。この「妨訴抗弁」というのは、「XとYとの間においては、本件商取引により生じた紛争の解決は、日本において、日本商事仲裁協会(注2)の規則に則り、仲裁に付して解決する旨の仲裁契約があったから、訴訟によって紛争解決を求めることはできない。」というものです。 |
C |
ところがミネソタ州の連邦地方裁判所は、ミネソタ州は「弁護士強制制度」を採用しているからとの理由で、Y本人だけの名義による「妨訴抗弁」を無視した上で、昭和63年(1988年)4月19日、「YはXに対し250,721ドル47セントを支払え。」という判決を下し、この判決は確定しました。 |
D |
そしてXは、「アメリカ合衆国ミネソタ州地方裁判所が昭和63年4月19日原告被告間の損害賠償請求事件につき言い渡した別紙記載の判決に基づいて原告が被告に対し強制執行をすることを許可する。」という「執行判決」を日本の裁判所に求めたのです。 |
E |
第1審である大阪地方裁判所は、平成3年(1991年)3月25日、「旧民事訴訟法200条1号(注3)の要件が具備されていない。」との理由で、原告の請求を棄却しました。 |
F |
この第1審判決に対し、原告は控訴しましたが、第2審である大阪高等裁判所は、平成4年(1992年)2月25日、第1審と同じく「旧民事訴訟法200条1号の要件が具備されていない。」との理由で、控訴を棄却し、第1審判決を維持しました。控訴人(原告)は、上告しなかったらしく、この訴訟事件は確定しました。 |