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大塚正民の考古学と考古学の広場

第86回 信託その7:信託と税務(日米比較その2)

2013/10/1

大塚 正民
大塚正民 法律会計事務所
 


前回(第85回)では、なぜ「誰に対する贈与か」が問題になるのかを検討しました。それは、信託の場合、日本であれば「誰に対する贈与か」が問題になるのは「誰が贈与税の納税義務者か」を決定するためですが、アメリカでは、「贈与税の納税義務者」は「贈与者」ですから、「誰に対する贈与か」が問題になるのは「受贈者の人数は何人か」を決定するためであることを見ました。そして日本でもアメリカでも、「受贈者」となるのは「信託の受益者」であることが原則であることも見ました。ところが、「受贈者」となるのは「信託の受益者」であるというこの原則をあらゆる場合に適用する訳には行かないのです。なぜなら、日本では「受益者が存しない信託」という信託がありますから、この原則によれば、「贈与税の納税義務者」が存在しないことになります。また、アメリカでは同じく「信託の受益者」であっても「将来権 (future interest)のみを有する受益者」は「基礎控除算定上の受贈者」には該当しません。そこで、日本では「受益者が存しない信託」の場合の「贈与税の納税義務者」を新たに作り出すという課税方法を政府側が考案し、また、アメリカでは「将来権のみを有する受益者」をたくみに「現在権(present interest)を有する受益者」に変更するという節税方法を納税者側が考案したのです。
まず日本の政府が考案した新たな「贈与税の納税義務者」とは「法人課税信託の受託者」です。つまり、「受益者が存しない信託」の場合の新たな「贈与税の納税義務者」は「信託の受託者」であり、その「信託の受託者」が「法人」であれば「受託法人」と呼ばれることは当然ですが、その「信託の受託者」が「個人」であっても、その「個人」を「法人」とみなして、「受託法人」と呼ぶことにしたのです。この「受託法人」という制度は、「相続税法(相続税と贈与税の根拠法)」のみならず、「法人税法」および「所得税法」とも関連してきますので、次回(第87回)でもう少し詳しく検討します。
つぎにアメリカの納税者が考案した「将来権のみを有する受益者」を「現在権(present interest)を有する受益者」に変更するという節税方法はCrummey trustと呼ばれます。このCrummey trustについては、次々回(第88回)で検討しましょう。


 



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更新日:2013/09/30