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松本 真輔氏 プロフィール
中村・角田・松本法律事務所(注1)パートナー。1970年、福岡県生まれ
東京大学法学部卒。スタンフォード大学ロースクール卒業(法学修士号取得)。西村総合法律事務所(現西村ときわ法律事務所)、長島・大野法律事務所(現長島・大野・常松法律事務所)、スキャデン・アープス・スレート・マー・アンド・フロム法律事務所(ニューヨーク)(注2)を経て、現職。
日本国弁護士、ニューヨーク州弁護士。
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専門分野 企業合併・買収、企業再編、企業提携、企業金融。 |
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著書等
『新会社法・新証取法下における敵対的買収と防衛策』松本真輔著 税務経理協会 2005年
『最新インサイダー取引規制―解釈・事例・実務対応』松本真輔著 商事法務 2006年
その他論文多数
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片岡:
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第10回の右脳インタビューはM&Aを専門とする弁護士の松本真輔さんにご登場戴きます。本日はご多忙の中、有難うございます。早速ですが、ご専門のM&Aの分野では村上ファンドやライブドア事件の狂騒を経て、王子製紙(注3)のような所謂エスタブリッシュメント企業が参入、本格的な流れが表出して来ました。
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松本:
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ライブドア事件では誤った報道も多くて危うさを感じておりましたが、それでもTOB(Take Over Bid)に対する議論が進んだことは間違いありません。大手企業も含めましてTOBに関する依頼は2,3年前から急速に増えていました。結局、全体の大きな流れとしてみれば、やはりバブル崩壊の影響が大きく、選択と集中の中で最初に本業以外の事業部門や子会社の売却ニーズが高まり、そして徐々に本業を強化するための買収にも注目が集まってきたようです。
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片岡:
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既に全上場企業の外国人持ち株比率は平均で2割を超えており(2003年)、M&Aの攻守ともにグローバル市場を意識せざるを得ません。
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松本:
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日本企業も事業計画をしっかり公表し、企業価値の高さを理解してもらう事が必要です。それには合理的な説明能力が不可欠ですが、これまでしっかりとした公表をしてこなかった企業では必要な能力が十分育成されておらず、投資家の十分な理解を得ることは難しいものと思います。
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片岡:
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株価を高くして買収を難しくするわけですが、TOBでは投機的な動きが価格を支配する局面もあると思います。
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松本:
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買収側が同業者の場合は将来のシナジー等を強調しますが、投資家がTOBに応募するかどうかの判断基準は最終的にはやはり価格だと思います。もっとも一口に投資家と言いましてもいろいろなタイプがあります。外国の機関投資家の場合は比較的価格を重視して応募するかどうかの判断をすることが多いと思いますが、日本の機関投資家は必ずしもそうとは限りませんし、持合などの場合は全く異なる判断となります。またISS(インスティテューショナル シェアホルダー
サービシーズ株式会社)(注4)のような助言機関は非常に強い影響力をもっていますが、厖大な数の案件を抱えていますので判断は機械的に為らざるをえません。ですから実際に説明をして個別にしっかりした判断をして貰う必要があります。更にデイトレーダーは特に投機的で、あやふやな情報に左右される事があります。そういう意味ではプランニング段階では彼らの動きは読み難く、仕掛ける側にも難しさがあります。
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片岡:
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一般の投資家や世論の支持を得るためにPR戦略を積極展開することもあるようですが。
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松本:
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国内の通信事業者が外国資本の傘下に入る初のケースとなった英C&W(Cable & Wireless)によるIDC(国際デジタル通信株式会社)の買収(注5)では英首相を巻き込み、メディア、特に海外メディアを積極的に活用するPR戦略が展開されました。
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片岡:
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更にネガティブ・キャンペーンまで進展するケースもありますが、そういう意味ではメディア自体への敵対的買収は非常に高度な案件になります。
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松本:
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今の世の中で、メディアを完全にコントロールすることは難しいと思いますが、うまく使えば一気に流れを作れる可能性もあります。またメディアの事例ではより直接的な防衛策もあり、米国の出版社が敵対的買収を仕掛けられた時に、作家たちが『買収が成立した場合には出版社を変更する』と主張したことで買収は失敗に終わったケースもあります。先日のニッポン放送問題でも同様の焦土化作戦(scorched earth)が見られました。
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片岡:
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グレーゾーン的な攻め方を実行された場合はどうなのでしょうか。
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松本:
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その様な場合は法的手段で阻止することができるかどうか分からないため、総合的な対応をすることになります。つまりメディアへ訴えたり公的機関へ通報したり、あらゆる手段の利用を検討します。
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片岡:
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ある意味で直接的な対応が出来ないということですか。
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松本:
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現在の日本の法制下では、事前の差止めができる範囲が限られていますし、やってしまったものを事後に差し止めることはできません。ですから必ずしも効果的な手が打てるとはいえません。一方、米国では裁判所がより強い権限を持ち、防衛手段として独占禁止法違反や証券取引規制法違反などの訴訟がよく利用されます。
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片岡: |
そのような事例を出来るだけ防ぐためにも平時からの準備が必要で、ここに来て急速に敵対的買収に対する防衛策の導入が進んでおります。しかしながら効果に疑問のあるものや企業価値を損ないかねないような付け焼刃的事例も多く見受けられるように思います。
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松本:
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防衛策にはライツ・プラン(rights plan)や対抗措置事前警告型防衛策などいろいろありますが(注6)、実際、有事において奏功するかどうか疑問のあるものもあるように思います。これはニッポン放送に対して裁判所が厳しい判断を示したことも原因の一つです(注7)。ニッポン放送のケースでは、ライブドア側がどうやっても逆転不可能な大量の新株予約権を発行したことを裁判官がやりすぎであると判断して、その結論が最も説明しやすい理論を採用したという面もあったのではないかと思います。
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片岡: |
つまり判例が今後の理論構築の基準となり難いわけですね。しかし裁判官の判断を勝ち取るという意味では防衛側の要求内容も頃合を見誤ったのではないでしょうか。
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松本:
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というより買収の防衛策については、未だ固まったものがなく、これからというのが現状です。実際にニレコ事件では、地裁の判断に対し高裁で若干のゆり戻しがありました(注8)。また経済産業省・法務省より指針が提示されましたが(注9)、これも裁判所の判断と矛盾するのではないかと思われるような部分もあります。ですからこれで大丈夫というような買収防衛策などはありえません。いずれにしても、日頃から企業価値をしっかり考えておくことが大切です。また事前に危機になった時の対策マニュアル(black book)を策定し各スタッフの役割を決めておく事も必要です。有事になった場合でも企業には日常の業務があります。また秘密保持の点から考えても実際に動けるスタッフは10人以下でしょう。ですから外部機関を適切に活用しなくてはいけません。更に経営者が企業防衛を何度も経験する事はないわけですから、実際に仕掛けられると、どうしていいか判らずに慌ててしまう場合も多いようです。その様な意味でも企業経営者には外部のブレーンが必要で、経営判断にFinancial Advisorや弁護士などを活用するように考え方を変えていく必要があると思います。実際、内部だけで判断していては危険という事が十分に証明されたからこそ社外取締役や監査委員会などが設置されてきているはずです。勿論、コンフリクトは必ずあります。ですから投資銀行にしろ、弁護士にしろ、どういう人間を使うかが大切で、普段からの付き合いを通して見極めることが必要だと思います。また我々にしても日頃から接する事で、会社の財務内容や株主構成など、いろいろな事を普段から把握しておくことにより危機に際し迅速で効果的な対応をとることが出来ます。
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片岡: |
その他、普段から特に気をつける事はありますか。
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松本:
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企業買収に限りませんが、どんな事でもリスクがないということはありません。仮に部下がリスクはないという報告を上げてきても、そういったこと自体が大きなリスクです。リスクをとってリターンを得るという基本は変わらないということをいつも考えて判断して欲しいと思います。
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片岡: |
貴重なお話を有難うございました。
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−完− |
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インタビュー後記
早くから安全保障の分野に興味を持っていた松本さんは、防衛庁への入庁を考えていたそうですが、最終的には組織ではなく専門家としての道を選び、企業の買収・防衛の最前線に立つことを選びました。国際社会の中心にあるアメリカでは第2代大統領のジョン・アダムズ(1735-1826)に始まり20人以上の歴代大統領が弁護士出身という弁護士大国で、当然、日本の国や企業活動も法的な面での理論武装や戦略を抜きには考えられません。松本さんのような若手のM&A弁護士の活躍は時代の不可逆的な要望でもあるものと思います。
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聞き手
片岡 秀太郎
1970年 長崎県生まれ。東京大学工学部卒、大学院修士課程修了。博士課程に在学中、アメリカズカップ・ニッポンチャレンジチームのプロジェクトへの参加を経て、海を愛する夢多き起業家や企業買収家と出会い、その大航海魂に魅せられ起業家を志し、知財問屋 片岡秀太郎商店を設立。 |
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脚注
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注1 |
中村・角田・松本法律事務所
東京都千代田区大手町2丁目1番1号 大手町野村ビル18階
TEL:03-3510-2771(代表) FAX:03-3510-2772
http://www.ntmlo.com/
同事務所の中村直人弁護士は『日経ビジネス』による人気弁護士ランキングで2004年、2005年と連続1位を獲得。またライブドア事件ではニッポン放送側を担当したことでも著名。
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注2 |
SKADDEN, ARPS, SLATE, MEAGHER & FLOM LLP & Affiliates
1948年ニューヨークに設立。世界23ヶ所にオフィスを構え1800名を超える弁護士を擁する世界最大の法律事務所の一つ。同事務所の日本共同事務所がライブドア事件ではライブドア側を担当したと言われている。
http://www.skadden.com/
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注3 |
王子製紙 1873年、渋沢栄一によって設立された日本初の洋紙会社で、製紙業界最大手。三井グループ。
http://www.ojipaper.co.jp/
創業 |
1873年(明治6年)(財閥解体後の設立1949年) |
資本金 |
1,038億円
東証1部上場 |
売上高 |
1兆1,851億円(05年3月期/連結) |
従業員数 |
18,634名(05年3月/連結) |
事業内容 |
新聞用紙・印刷用紙・包装用紙・特殊紙等の洋紙類、
段ボール原紙、白板紙等の板紙類および紙加工、家庭用紙、
粘着紙、感熱記録紙等加工品の製造、販売ならびに林業、
不動産、運送等各事業 |
関係会社 |
王子板紙(株)等195社
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注4 |
インスティテューショナル シェアホルダー サービシーズ株式会社(ISS Japan) 2001年設立。代表取締役 首席調査員マーク・ゴールドスタイン
http://www.issproxy.com/japan/about/index.jsp
Institutional Shareholder Services, Inc.
(米メリーランド州 President & CEO John M. Connolly)
1985年 元米国労働省年金局長ロバート・モンクスによって設立された議決権行使やコーポレート・ガバナンス関連のサービスを提供する世界有数の企業。
従業員数
(世界12拠点) |
512名 : |
行使・クライアントサ−ビス要員135名 |
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アナリスト170名(23ヶ国語) |
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議案分析市場数 |
115カ国 |
議案分析企業数 |
世界33,000総会、うち日本3,000総会 |
議決権行使数 |
世界550万件 |
クライアント数 |
機関投資家1,635(運用資産額総計25兆ドル超)
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注5 |
IDCは1986年、伊藤忠商事・トヨタ自動車・英C&W等の出資により設立された通信事業者。設立時よりNTTとの関係が深く、1995年NTTが同社取得の意向を示した際に同社取締役会もNTTへの売却を決議していた。しかし、英国の通信事業者大手で同社の株主でもあったC&WがTOBを実施、トヨタと伊藤忠がこれに応じ支配権を獲得した(買収額690億円)。この間、IDCは英政府へ働きかけるとともに海外メディアを活用したオープンなイメージ戦略を展開することでIDCの買収を日本の鎖国的体質の政治問題へと転換、買収を成功に導いたとも言われている。
また2004年にはソフトバンクがIDC(当時C&W IDC)を買収し(買収金額123億円の他、19億円の第三者債務を引き継ぐ)、C&Wは事実上、日本から撤退した。
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注6 |
敵対的買収に対する防衛策については、『新会社法・新証取法下における敵対的買収と防衛策』松本真輔著 税務経理協会(2005年)に詳しく記述されている。
ライツ・プラン
米国におけるライツ・プランは、典型的には、敵対的買収者が一定割合の対象会社株式を取得した場合に、時価よりも低い価格で対象会社株式を取得する事が出来るライツをあらかじめ全ての株主に付与する仕組みであり、ポイズン・ピルとも呼ばれる。
※同書 164ページより抜粋
対抗措置事前警告型防衛策
対象会社が発行を設定するルールを遵守しない場合には、対抗手段として新株予約権を発行することをあらかじめ警告する方法
※同書 139ページより抜粋
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注7 |
I05年3月11日、東京地裁は、「取締役が現に支配権を争う特定の株主の持分比率を低下させ、現経営陣の支配権を維持することを主要な目的として新株等の発行を行うことは、会社の執行機関にすぎない取締役が会社支配権の帰属を自ら決定するものであって原則として許されず、新株等の発行が許容されるのは、会社ひいては株主全体の利益の保護の観点からこれを正当化する特段の事情がある場合に限られるというべきである」とし、ニッポン放送による新株予約権の発行は、「フジサンケイグループに属する経営陣による支配権の維持を目的とするものであり、なお、現経営陣の支配権を維持することを主たる目的とするものというべきで」あり、不公正発行に当たるとして発行差止の仮処分決定をした。(中略)これに対し、ニッポン放送は東京高裁に保全抗告したが、同年3月23日、東京高裁は「(ニッポン放送による)新株予約権の発行は、(中略)会社の経営支配権に現に争いが生じている局面において、株式の敵対的買収を行って経営支配権を争う債権者(ライブドア)等の持株比率を低下させ、現経営者を支持し事実上の影響力を及ぼしている特定の株主であるフジテレビによる債務者(ニッポン放送)の支配権を確保することを主要な目的として行われたものである」とし、不公正発行に当たるとして、東京地裁の決定を支持し保全抗告を棄却した。
※『企業価値報告書』平成17年5月27日付 企業価値研究会 経済産業省・法務省 21ページより抜粋
http://www.meti.go.jp/press/20050527005/3-houkokusho-honntai-set.pdf
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注8 |
ニレコ事件東京地裁原決定・同異議決定は、取締役会決議導入型の防衛策に極めて厳しい判示をしたことから、今後は、会社は、取締役会決議限りで防衛策を導入する事を躊躇する可能性がある。もっとも、東京高裁決定は、もっぱら既存株主が不測の損害を被ることを理由に本件新株予約権発行を不公正発行に該当するとしており、どのような要件を満たせば不公正発行にならないかという点については何ら判示していない。したがって、東京地裁原決定の示したような判断基準を必ずしも採用していないと解する余地がある。※『新会社法・新証取法下における敵対的買収と防衛策』松本真輔著 税務経理協会(2005年)162ページより抜粋
一連の事件の経緯・詳細については株式会社ニレコのホームページをご参照下さい。
http://www.nireco.co.jp/jap/ir/news_rel.html
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注9 |
「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」平成17年5月27日付 経済産業省・法務省
http://www.meti.go.jp/press/20050527005/20050527005.html
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(敬称略) |
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片岡秀太郎の右脳インタビューへ
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