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大塚正民の考古学と考古学の広場

62回 国際法務その28:  国防法その2:和製エクソン・フロリオ条項

2011/10/1

大塚 正民
大塚正民 法律会計事務所
 

前回(第61回)から3回にわたって取り上げる「国防法」には、主な問題として、つぎの3つがあります。第1は、かってのココム、現在のワッセナー・アレンジメントに基づく立法である「日本の安全保障貿易管理法」、第2は、米国のエクソン・フロリオ条項を真似た「和製エクソン・フロリオ条項」、第3は、米国企業との契約でよく見られる輸出禁止条項に基づく「日本企業の契約違反責任」です。今回は、第2の「和製エクソン・フロリオ条項」を取り上げます。
 
米国のエクソン・フロリオ条項
1988年に制定された法律で、外国企業による米国の企業の買収が米国の国家安全保障を脅かす恐れがあると認められる場合、大統領がそのような企業買収を停止したり、禁止したりする権限を行使できる、としたものです。この法律の提案者であった上院議員エクソン(Exon)と下院議員フロリオ(Florio)の名をとってエクソン・フロリオ条項(Exon-Florio Provisions)またはエクソン・フロリオ改正(Exon-Florio Amendment)と呼ばれています(注1)。この条項は、1986年に日本の富士通が米国のフェアチャイルド社の半導体部門を買収しようとした際に「当時の半導体市場を牛耳っていた日本の企業が米国の企業を買収することに危機感をもった米国議会が制定した」と言われています(注2)。この条項が問題になった日米関係の主な事件として、「1988年の日本鉱業(現在のジャパン・エナジー)によるグールド社の買収」、「1990年の京セラによるAVX社の買収」などがあります。
 
三角合併の解禁と和製エクソン・フロリオ条項
甲社と乙社が合併し、甲社が存続会社となる場合、普通であれば、乙社の株主は甲社の株式を受領するのですが、例外として、乙社の株主が甲社の株式ではなく甲社の親会社X社の株式を受領することがあります。このような合併を三角合併と呼んでいます。日本の会社法は2007年5月1日から三角合併を解禁しました(注3)。当時のマスメディアは、存続会社甲社の親会社X社が外国企業である場合、この三角合併の解禁によって、外国企業による日本企業の買収が増加する懸念がある、と指摘していました。そこで論者の中には、和製エクソン・フロリオ条項の立法の必要性を説く人たちが出てきました。つまり、外国企業による日本の企業の買収が日本の「国益」を脅かす恐れがあると認められる場合、日本政府がそのような企業買収を停止したり、禁止したりする権限を行使できる、とする法律を制定すべきだ、というものです(注4)

脚注
 

注1

ウィキペディアの“Exon-Florio Amendment”を参照。
 

注2

〔企業買収〕動き出す三角合併http://yomi.mobi/read.cgi/news21/news21_bizplus_1177855451 (最終検索:2011年9月30日)
 

注3

ウィキペディアの「三角合併」を参照。
 

注4

たとえば、「和製エクソン・フロリオ条項のない郵政民営化は巨大な詐欺だ」http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=209413 (最終検索:2011年9月30日)
 

   
   



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更新日:2012/10/30