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大塚正民の考古学と考古学の広場

第66回 国際法務その32: 環境法:スーパーファンド法:国際的協調による環境保護

2012/2/1

大塚 正民
大塚正民 法律会計事務所
 

国際法務で取り扱う「日本法」の「すべての事柄(everything)」を14種類(分野)に分類し、今回は12番目の分野である環境法(Environmental law)を取り上げます(try to know something about everything)。
「環境法」は、@公害法とA自然保護法とに大きく分かれます(注1)。環境基本法(注2)は、「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築」(第4条)、「国際的協調による地球環境保全の積極的推進」(第5条)などを目指すとしています。そのための具体的政策を定める多くの法律があります(注3)。たとえば、@公害法の分野では、大気汚染防止法(注4)、水質汚濁防止法(注5)、土壌汚染対策法(注6)、騒音規制法(注7)、などがありますし、A自然保護法の分野では、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(注8)などがあります。
「スーパーファンド法(注9)」とは、@公害法の分野で有名なアメリカの連邦法の俗称です。正式の名称は、「1980年包括的環境対処補償責任法(Comprehensive Environmental Response, Compensation, and Liability Act of 1980 = CERCLA)」です。この法律は「汚染者負担原則」(注10)の立場から、汚染に責任を有する者に汚染による損害・費用を負担させることとしていますが、この場合の「汚染に責任を有する者」の範囲は広く、たとえば、アメリカに子会社を持つ日本の親会社がアメリカ子会社による汚染に責任を有する者として莫大な金額の損害・費用を負担した例が少なくありません。
たとえば、これまでの「土壌汚染(注11)」に関する裁判は、スーパーファンド法に基づくアメリカでの裁判に日本の企業が巻き込まれ、莫大な金額の損害・費用を負担した事例が、アメリカ進出した日本企業にとって、国際法務上の重大関心事だったのですが、最近では日本でもこの種の裁判が多くなり、すべての日本企業にとっての重大関心事になっています(注12)
「国際環境法」
@公害の分野では、「土壌汚染」などのような国内問題は、各国の国内法で規制されます。ところが、同じ@公害の分野でも、「大気汚染」とか「オゾン層の破壊」などのように、あるいは、同じA自然保護の分野でも、「絶滅のおそれのある野生動植物の保護」などのように、もはや国内問題としての対処では有効な対策とはなりえない国際問題が生じています。上記の環境基本法第5条のいう「国際的協調による地球環境保全の積極的推進」が重要な課題となっています(注13)



脚注
 
注1

ウィキペディア:環境法:最終検索2012年2月1日
 

注2

平成5年11月19日法律第91号
 

注3

ウィキペディア:日本の環境と環境政策:最終検索2012年2月1日
 

注4

昭和43年6月10日法律第97号
 

注5

昭和45年12月25日法律第138号
 

注6

平成14年5月29日法律第53号
 

注7

昭和43年6月10日法律第98号
 

注8

平成4年6月5日法律第75号
 

注9

EICネット:スーパーファンド法[米国] :最終検索2012年2月1日
ウィキペディア(英語版):superfund:最終検索2012年2月1日
 

注10

ウィキペディア:汚染者負担原則:最終検索2012年2月1日
 

注11

ウィキペディア:土壌汚染:最終検索2012年2月1日
 

注12

サイト・「土壌汚染の裁判一覧表作成中」:最終検索2012年2月1日
 

注13

ウィキペディア:国際環境法:最終検索2012年2月1日
 

 
   
   


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更新日:2012/10/30