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中国ビジネスの行方 香港からの視点
 

中国依存度を増す世界経済の行方  

2018/3/1

湾仔

香港紙によると世界経済が予想外に好調だ。トランプ大統領の登場で皆が心配していた米国経済が好調で世界経済を主導している形は変わらないが、世界2位の経済大国中国の影響力にも注視すべしと主張している。実際に資源価格の上昇には中国の積極的な買いが絡んでいる。1月に入り株式市場は急落場面を迎えたが、世界的な株高は商品相場にも波及し原油価格が3年ぶりに高値をつけ、非鉄金属や貴金属も上昇基調となっている。 これの元にあるのは景気拡大でエネルギー需要やインフラ投資が増えるとの思惑から金融緩和で膨らんだ投資マネーがここに流れ、株を中心としてリスクをとろうとするムードが市場に広がっている。   #鉄鋼の過剰生産問題:2年続いた中国の粗鋼生産量が最近になって過去の最高水準にまで増える見通しとなりつつある。中国政府の鉄鋼関連研究所の冶金工業計画研究院は昨年末中国の粗鋼生産量が18年にかけ2年連続過去最高になると予測している。14年に8.22億トンと最高であったが、景気の減速もあり15,16年と減少したが17年8.32億トン、18年は8.38億トンと予測している。高度成長期中国内の生産能力は13億トンとも言われていた。ところが景気の減速と共に余った鉄は海外市場に向かい2015年の輸出量は日本の生産量と同じ1億トンを超えた。中国中央政府も余剰生産能力削減に注力したが鉄工所の大半は地方政府管轄で、税収や雇用の確保に地方政府の抵抗も有り工場閉鎖とか生産能力削減は進まなかった。ところが、習近平政権が権力を握ると鉄鋼メーカーの淘汰を宣言。反腐敗運動も絡めて武漢鋼鉄集団の最高幹部を規律違反で拘束し、武漢鋼鉄は最終的に最大手の宝鋼集団に経営統合された。更に1.5億トンの生産設備の削減を目論み同時に違法鋼材である地条鋼の一掃を図った。更に北京政府のインフラ投資もあり在庫減少、価格高騰と理想的な環境となった。輸出量も大幅に減り中国内の需要がある限り世界の鉄鋼市況は安定に向かうとの見方が多い。北京政府は引き続き監視を強めるであろう。 一方地方政府の景気対策としてのインフラ投資も軌道修正が必要となっている。世界的な鉄の過剰生産に各国とも 対応に足並みを揃えているが中国地方政府の補助金による赤字補填、国有大手銀行に鉄工所への融資継続を要求するとか、社債発行時に政府補償をつけ資金を集めやすくするなどいろいろな面での監視が必要だがどこまで実効性があるのか引き続きみてゆきたい。 中国役人の方向性(何を遣るか):鉄鋼の優遇政策だけを見ても次々と政策の変更があるが中国の役人はどのようにして最高幹部の意向をくみ取って、新しい政策を打ち出すのだろうか。今のところ習近平指導部の力は益々強くなっている。習によって最高幹部になった役人が特に地方政府でかなり無理と思われる政策も実行しているので 一般の役人はこれにfollowせざるを得ない。それにしても北京市政府が貧困層排除のため、低額(違法)住宅を焼き払ったり、この寒さの中で石炭の使用を禁じたりと、いかにも習独裁政権の意向が細かく反映しているようにも見える。外から見ると中国官僚の何をやるかという方向性は極めて難しい選択のようだが、日本のwhite colorも外から見ると同じようなものだ。今、街には所謂コンサルタントが溢れている。米国の真似で日本の大学に行かずに米国のbusiness schoolに行き、MBAを取り帰国して米国流に起業してコンサルタントになっている。 日本の大企業にコネを頼りにコンサルタントとして入り込み、日本企業は事業別に縦割りなのでいかに横串を通すかなどを売り込んでいるわけだ。コネと為れた人も簡単に紹介するがそこで働いている人は大迷惑だ。何も知識のないひとが突然入り込んできて色々指導?するわけだから。同じような例はIT業会におけるsystem engineer が今や出番とばかり暴れている。もともと、大学卒ではなくこの分野の専門学校が無数にある。リクルート会社にいると良くわかるが電機とか機械系の技術者はすぐ売れるが、system engineerはいくらでもいるので売れない。ところが最近の人工知能ブームで各社ともIT技術者を大量に抱えるようになり彼らが盛んにAIの宣伝をしている。マスコミ関係がこの分野に弱いことも有りAIが一人歩きをしている。何でもAIがこなすように宣伝されると企業の諸氏も困っているのではなかろうか。何れにしても企業内でconsultant とsystem engineerに跋扈為れては日本型企業でも何をターゲットとして業務を推進してゆくのか中国の役人同様の悩みがあろう。中国の役人の場合は習近平がどこまで専門知識があるのかは別として、彼の発言によって政策を推進すれば良いのでこの点では方向性は自ずと決まってくる。やや本論から脱線してしまったが、中国経済については次稿で解説したい。  


 

 

 

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更新日:2018/03/01