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中国ビジネスの行方 香港からの視点
 

国際商品の動き  

2019/2/1

湾仔

2018年は国際商品の相場が全般に下落基調にあった。外為市場でドル高が進みドル建てで取引する商品に売り圧力がかかった。同時に原油に供給増との予測が強まりさらに米中貿易摩擦により非鉄の需要が減るとの見方もでてきた。エネルギー、農産物、金属など19品目を対象とした国際商品指数は国際商品相場の全体の方向性を示すが(1967年を100としている)、2017年夏から上昇していたがその後下落に転じた。原油相場はイランやベネズエラの供給減との懸念で18年後半から上昇したがOPECの産油量の増加と米国の在庫増など弱材料もあり売られている。非鉄は全般に世界景気に敏感だがロンドンのLMEの銅の3ケ月先物が18年はじめから20%下げ、アルミも10%近く下げた。農産物では中国が米国に報復関税の対象となった大豆などが売られた。大豆の場合米国の輸出のうち約60%が中国向けだがシカゴ先物は18年7月に9年半ぶりに安値になった。中国政府としては豚肉価格上昇が致命傷とならぬよう特別の配慮が必要で何らかの融和策を米中会談に持ち込むものと思われる。商品市況といえば日経の“商品市況 平成の30年”という記事があったがこれが一部商品もあるが、その他の記事が面白い。平成の30年間の商品以外の動きをとらえている。パート・バイト時給は1,000円が普通になった。大半を占める女性の時給は30年間で662円から1,074円に上がり過去最高水準に達した。但し問題は時給を上げても人が集まらないということで今後も同じ問題にぶつかるであろう。 30年間で劇的に価格が下がったのは半導体メモリーだ。データの一時保存に使うDRAMは記憶容量が拡大する一方技術革新も進み生産コストは下がり続けた。技術革新30年の結果、記憶容量当たりの単価は1万分の1以下となりメーカーも東芝を先頭に3社が国内メーカーであったがその後サムスンなど、韓国勢が君臨し、現在はサムスン電子、SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーで9割以上のshareを占めている。同じく日経の平成の30年の動きでゴルフ会員権を取り上げている。ゴルフ会員権の平均価格はバブル期のピークに比べ24分の1まで下がった。ゴルフ場の地価の上昇による資産価値の増加を当て込んで買われたものだがバブル崩壊で急落した。今ではプレイ目的の購入がほとんどだ。関東圏の主要150コースの平均価格は89年2624万円、90年には4388万円まで上昇した。それが18年になると184万円とピーク時の約24分の1となった。ゴルフをめぐる環境も変わった。プレイ人口が大きく減少した。コース参加人口は92年の1480万人から17年は670万人に減少した。法人需要のほか個人の利用も減り特に若年層の減少が大きい。ゴルフ会員権は実需での購入がほとんどで最盛時の2624万円から184万円へと急落している。その他ではコメ、H型鋼、原油など実需・内需縮小で軒並み弱含みだが、本稿でも前に触れたが、段ボール原紙の価格は30年前に比べ約1割上がった。電子商取引の普及によるもので輸出に使う段ボールの需要が伸びるにつれ原料の古紙の調達も拡大、日本からの古紙の輸出が増え価格が高止まりした。但し目下のところ割安な日本産古紙の輸出も拡大したが米中の貿易戦争の影響でいずれ中国は古紙を含んだ固形廃棄物の輸入を禁止するとの観測も浮上してきた。その結果古紙は日本でダブつき原紙の値下げ圧力となろう。

#商品先物市場:本稿でも前に触れたが商品先物市場は主力の原油や金の値動きはやや活発となっているが、商品によって関係官庁が異なるので簡単には大きく統合とは行かない。東京商品取引所は売買高が10年で半減し連結最終赤字になるなど業績も不振だ。取引仲介の商品先物会社も減少した。国内の商品取引所は東京商品取引所と大阪堂島商品取引所(コメの先物取引)があるが東京商品取引所が全売買高の98%を占めている。但し東京商品取引所の売買高は2003年度頃から減少しつつある。14年間で7割減ったとも言われている。減少は取引の勧誘規制の強化によるもので商品先物はハイリスクハイリターンの投資商品だ。日本の市場は個人投資家が中心で仲介業者による積極的な電話での勧誘の結果、個人での損失トラブルが絶えず社会問題となっていた。そこで一度断った人への再勧誘を禁じるとか、投資を望んでいない人への勧誘も禁じられ、株式に比べ規制が厳しくなった。これにより商品取引会社や取引所の経営は悪化した。その後いろいろな商品を新たに上場したが、多くの商品は姿を消した。一方、彼らの狙いは中国の個人マネーだ、中国人特有の特殊取引に対する勘がありこれに期待したわけだ。但し個人が望ましいが現共産党政権下では国有企業が金融面なども含め圧倒的に強いので個人マネーには期待できない。本稿でも触れたが、大連万達集団を率いる王健林は共産党とはコネが薄くせっかくのデイズニーの中国全土展開も過大投資として現政権からにらまれ後退せざるをえなくなったがその後現政権とうまく話をつけたのか、最近は“当社の発展を支えてくれた中国共産党と政府に心から感謝したい。”と謝辞を述べている。要するに中国人の価値観ではルールなど護ったら損、バレなきゃ良い。となる。ドローン世界最大手の中国DJIで大がかりな不正が発覚したと1月22日の新聞は報道している。同社社員が部品の調達先と組み実際の部品価格より高い値段で取引し差額分を社員が横領していたとのことで損失は160億円と伝えられている。同社は世界のドローン市場で7割程度のシェアーを占め中国で最も有名なスタートアップ企業として知られている。最近では動画投稿アプリTikTokでも社員が代理店から巨額の賄賂を受け取ったことが表沙汰になっている。このあたりが理解不可能だが中国人のルールに対する見方がよく現れている。いずれにしても中国の個人は期待薄だが中小国営企業の中から個人の投資家がいずれ出てくることを期待したい。  

           

 

 

 

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更新日:2019/01/07