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Apple
Payとは、Apple社が2014年10月に米国で開始したNFC(近距離無線通信)技術を利用したモバイルフォン資金決済システム。電子マネーでなくクレジットカード決済の形態。
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決済機器にモバイルフォンをかざすだけで、決済が可能となるという点では、「おさいふケータイ」や「Googleウォレット」と同様の機能。
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取引行為の面では、生体(指紋)認証およびトーカナイゼーション(クレジット番号を利用業者にそのまま示すのではなく、取引1回毎に10桁の数字列[トークン]を伝達する)を採用することにより、他人の成り済ましおよび利用業者等によるクレジットカード情報の盗用を防止することが出来、取引の安全確保において、高い評価を受けている。
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Apple
Payはこうした高度の安全確保機能が採用されていることから、不正決済に対する補償費用の大幅削減が見込まれており、スタート当初から大手銀行を含む500以上の金融機関が採用している。
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Apple
Payは、スタート当時から以下の大規模企業を含む22万店舗で利用可能となっており、その後も急ピッチで増加している。
Apple Payで決済可能な先:
Disney
Store、Macy’s(百貨店)、McDonald’s、Nike、SUBWAY(サンドウィッチ・チェーン)、Toys“R”Us
(玩具チェーン)、Whole Foods
Market(自然食品スーパーマーケット)、Walgreens(ドラッグストアチェーン)
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本コンフェランスにおいても、Apple
Payを取り扱ったセッションは、多数の参加者により満席の状況であった。あぶれた30〜40名の聴衆は床に座り込んで説明を聴いていた。
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さらにApple
Pay利用に当って、Apple社は利用店舗・決済金額等の利用情報を一切取得しておらず、情報漏洩のリスクが最小化されている。
Apple社は、決済サービス利用の対価を、不正利用の少ないシステムを提供する見返りとして、決済銀行から徴収(決済金額の0.15%)しているため、利用者は、Apple
Pay利用する際に、決済手数料を追加的に支払う必要はない。
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日本でのApple
Payの利用については、NFC(近距離無線通信)の方式が日本で支配的な方式と異なるため新たに対応機器を導入する必要があること、および我国ではクレジットカード決済に関する不正行為が米国など多くないこともあって、Apple
Payの利用が拡大することは当面は見込まれない。
もっとも、Apple社が我国においてApple
Payを普及させる方針を採用しさえすれば、NFC対応の決済機器の導入はさして困難なことではないはずで、決済の安全性の高さから推して、日本でも利用が急上昇することは想像に難くないところである。
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米国におけるその他の決済サービス
@ CurrenC
Merchant Customer
Excange(MCX)社が2015年にサービス開始を予定しているモバイル・ウォレット。大手スーパーマーケットのWalMart社がイニシアティブを取って開発したシステムで、クレジットカードは使わず、購入者毎のQRコードで支払者を特定。小売業者に購入履歴等販売データが蓄積される。
A Dwolla
クレジットカードを経由しない送金ネットワークシステムで、米国で一番手数料が安い(10ドル以下無料、10ドル超でも1件当り25セント)。Facebookとも連動。
B Bluebind
American Express社がWalMart社と共同で開発したデジタル・プリペイド・カードシステム。小売店舗での決済・ATMからの現金引出し、個人間の送金等幅広い利用が可能。
クレジットカードとSNSとの融合
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サービス内容を「顧客」が決定できる、究極のマーケットイン型クレジットカード。
英国の大手国際金融グループBarclaysの子会社Barclay Cardが開発したシステム。
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Barclay
Cardは、サービスが全く規定されていない「ホワイトカード」を発行し、Facebook等SNSのコミュニティでメンバ自身が、自ら欲するサービス内容を企画・実施するもの。
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カードのデザイン、手数料率、外貨両替サービスの有無、ポイント料率について、SNSに集うコミュニティメンバの投票で決めていく。その収支は、年2回メンバに開示され、サービスの改善、見直しを当該コミュニティで継続的に行っていく仕組。
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カードの運営に関与することにより、メンバの愛着も高まるため、カード使用率は通常の場合と比べて約3倍まで上昇。つれて収益も改善。
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このように米国では、ITを活用した決済システムが各種開発利用されている。銀行にとっても、こうした資金決済に伴う手数料収入および資金決済に誘発されたかたちでの様々の金融サービスによる収入が無視し得ぬ収益源となっている。
我国においては、これまで「銀行=強者」の前提の下、銀行が資金決済および各種サービス分野に進出することは規制されていた。
本年2月26日付日本経済新聞朝刊報道によると、「金融庁は銀行規制を17年ぶりに転換」し、「持株会社傘下で新事業を可能」とする方向で検討しているようであり、「スマホ決済子会社」の設立も認められるとのこと。
銀行の健全性確保は当然であるが、それと両立する形での銀行規制緩和は我国銀行の国際競争力向上の観点からも強く望まれる。
(付)JP Morgan Chase銀行での営業店業務展開
上記「BAI Retail Delivery 2015」コンフェランス出席と同じタイミングで、JP Morgan
Chase銀行(以下「JPMC」)のニューヨーク近郊支店を視察。同銀行支店業務展開の特長を以下、簡単に紹介する。
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JPMCの全体像
JPMCは、全米第1位の大銀行(総資産275兆円)であり、投資銀行業務、大企業融資に特化した金融機関との印象が強いが、実態は収入の5割弱(46.1% ―2013年実績)を、「Consumer
& Community Banking」から稼得。これは、2004年にスーパーリージョナルの「Bank
One」を合併し、2008年に全米最大の貯蓄・貸付組合(S&L)「Washington
Mutual」を買収したことが大きく影響している。
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JPMCの「Consumer & Community Banking」の特長
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モバイル・バンキングおよびクレジットカード業務に強みを持っており、クレジットカード関連融資残高は全米第1位。
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最近は、Affluent
Mass(裕福な中間層)向けのプライベート・バンキング・サービスに注力している。