国民は普天間米軍基地移転問題で日米関係の悪化を懸念している。これが最近の鳩山政権の支持率急落の一因となっている。
一時期、ゲーツ国防長官ら米国関係者は、普天間米軍基地を自民党時代に合意したとおり名護市に移転させるよう激しい圧力を加えた。これを受け、日本の安全保障関係者や報道機関は「普天間問題で日米関係は悪化する」と述べてきた。かかる中、国民が不安を持ったのは当然である。しかし、本来普天間問題で日米関係は悪化する性質のものでない。かつ充分に対応出来るものと考える。理由は次のとおりである。
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民主党政権は「チェンジ」を掲げ、総選挙に大勝した。それは50年にわたる自民党時代の政策の再検討を意味する。当然外交も、普天間飛行場問題も含まれる。こうした流れは民主主義国家の基本原則だ。米国もオバマ政権になり、イラク戦争への立場を変えた。東欧諸国に対するミサイル防衛施設の配備も変えた。国際間の約束よりも政策の妥当性の検討が当然優先する
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総選挙及び名護市市長選挙で米軍普天間基地の名護市移転に関し、沖縄県民が反対していることが極めて明確になった。政府が結果を無視して5月に名護市移設を決めれば、沖縄での反基地活動が活発化し、長期的に日米安保体制にマイナスをもたらす。
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米国戦略に海外基地は不可欠である。PRV(Plant Replacement
Value)という財産評価法に基づけば、世界展開の米軍基地の重要性では、日独ともに世界で最も重要で、財産価値はともに世界の米軍基地全体の約30%である。大型基地に限定すると、日本の財産価値はドイツの3倍である。ちなみに普天間基地は在日米軍基地全体の20分の1以下である。かつ、こうした米軍基地に対する受け入れ国の負担を見ると、日本は世界全体の50%以上、ドイツの約3倍、英国の約20倍、すべての北大西洋条約機構(NATO)諸国の1.6倍である。普天間基地は全在日米軍基地の20分の1以下の価値しかもたない。20分の1以下の価値しかない普天間基地の問題で、米国が日米安全保障関係を悪化できるだろうか。できない。
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米国の中で対日姿勢に変化が出ている。国防省の対日強硬路線に対する批判が出てきている。その中、対日戦略の形成に重要な役割を果たしてきたナイ教授(ハーバード大学)は1月7日付ニューヨークタイムズ紙で「(日米)同盟は1つの問題より大きい(注1)」との標題の論文で、次の主張をした。(注:他にもアイケンベリー・プリンストン大学教授も批判論評を発表している)
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驚く事ではないが、ワシントンにおけるある人々は日本政府に非妥協的態度で臨もうとしている。しかし、それは賢明ではない。
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我々は現在2次的な重要性しかもたないもので東アジアの長期的戦略を脅かしている。
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もし米国が日本の新政権の土台を揺るがし,日本世論の作り出すとしたら普天間での勝利は余りにも多くの犠牲を払った“pyrrhic
victory”と言わざるをえない。
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普天間問題は、これをこじらせ日米関係全体及び日米安全保障関係を悪化出来ないのは米国であるとの認識の上に立ち、日本の政策を作り、対米交渉を行うべきである。
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