2010年、ささやかながら、筆者は普天間基地移転問題に関与した。筆者の関与の出発点は1月5日鳩山総理に対する進言である。これ以降メディアでも発言の機会が増えた。特にNHKは3月12日『日本の、これから「いま考えよう日米同盟」』、2月28日日曜討論等があった。これらの主張点は前回の普天間米軍基地移設問題で紹介済みである。鳩山総理には3月6日に改めて進言した。
普天間米軍基地移設問題の最も重要なポイントは2つあり、一つは沖縄県民の意向、今一つは米国の意向である。
米国の意向については、国防省、国務省は依然として、名護市海上案でなければならないと言っているが、今、米国の良識派が活発に発言している。この中、最も重要なナイ教授論評は前回紹介したが。次いで1月21日付ニューヨークタイムズ紙はアイケンベリー教授等の「新しい日本、新しいアジア」(注1)を掲載した。
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オバマ政権は鳩山政権の新しい動きをはねつけるよりも、歓迎すべし。
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選挙において投票者は政策がワシントン製でなく日本独自のものを志向。鳩山政権は米軍基地が社会にもたらした悪に対処することを約束。
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鳩山政権の新しい外交の模索は日本の新しい安全保障環境を反映―中国の台頭。中国は地域関与に利益を見いだし、日本との新たな対話へ門を開放。北朝鮮の核は対話の必要性を作る。
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日本は冷戦後地域統合を促進した欧州の歩んできた道を歩み始めている。
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日中に、第二次大戦後に独仏が達成したような和解の機会が訪れるかもしれない
日本は、日中の和解と地域統合を推進するため、米国との同盟がもたらす安定を活用すべきだろう。自立した自己主張する日本の方が、ワシントンの言うことに従う日本よりも東アジアに貢献することが期待できる。
加えてフォーリン・アフェアーズ誌3,4月号はジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)名誉学院長(注2)の論文を掲載した。
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アメリカの軍は、時として、国務省や日本政府の意向を無視して、沖縄をあたかもその封建的領土であるかのように扱って来た。
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ゲーツ国防長官は、訪日の際、鳩山が抱える問題に答えようとしないで、既存の合意の実施を要求した。
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もし海兵隊を沖縄に維持すべき戦略的理由があるならば、それを公表してその当否を公開で議論させるべきである。
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米国は、日本がその領土内における米軍の存在を削減しようという意思を尊重し、基地に関する協定の再交渉を支持すべきである。
日本政府がこうした米国良識派と密接な連絡をとり、普天間問題で日米関係が悪化しないよう外交努力をすることを願っている。