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孫崎享のPower Briefing

中国経済、日本を抜く

2011/1/28
 

孫崎 享
(twitter)

 1月20日、各紙は「中国のGDPは 2010年GDPは約5兆8800億ドルで、日本を抜き、米国に次いで世界2位になる」と報じた。同時に私は次の報道に注目した。「中国の名目GDPは20年前、日本の1割強だった。」僅かの期間で中国は猛追した。
 20年前、誰が今日の中国を想定したか。1998年著名な中国研究の学者が書いた本では「中国が経済大国というのは誤れる通説である」と記述した。今日でも日本では中国経済を低く見る傾向がある。しかし、こうした日本での批判的な見通しにかかわらず中国経済はどんどん力をつけている。
 ゼネラル・エレクトリック社は世界最大の複合企業で、売上高では世界の1,2を争う企業である。1月20日付ニューヨーク・タイムズ紙はこの会社の会長イメルト氏が中国に関し「2007年までは米国が世界経済の牽引車であった。しかし今後25年間世界経済のエンジンは米国消費者でなく、アジアの中流の人々である。ゲームは中国で展開される」と評価を紹介し、この会社が航空機の電子分野で中国と協力することを報じた(注1)。米国と中国の経済的交流はますます活発化していく。
 経済が巨大化する中国は当然軍事力も増す。中国は将来米国と同程度の軍事費支出をする。日中の軍事費比較では1対10位の格差が出るのはすぐ目の前だ。「中国の軍事技術水準が低いから気にする必要はない」と指摘する人もいる。
 中国の軍事的脅威に先ず核兵器がある。さらにミサイル脅威が最近出てきた。2010年11月4日付ワシントンタイムズ紙は80の中・短弾道弾、350のクルーズ・ミサイルで在日米軍基地を破壊できると報じた(注2)。米軍基地を破壊できるということは日本全土を破壊できるということを意味する。
 自衛隊の主力戦闘機はF-15である。技術水準から言って第4世代の機種といわれている。今次期戦闘機の機種の選定中である。この中、中国は1月11日、中国初のステルス戦闘機「殲20」の試験飛行を行った。ステルス性とは、レーダー等のセンサー類から探知され難くする軍事技術を言う。ステルス戦闘機はF-15より一段進んだ第5世代の戦闘機と位置付けられ、米国ではF-22が実戦配備されている。F-22は機密度が高く現状では米国は対日輸出を行う予定がない。
 1月23日付星条旗新聞は「コソボ戦争時、セルビアは米国ステルス戦闘機(F-117 Nighthawk)を撃墜した。その時中国工作員が破片を農民等より購入し、中国はこの破片を分析した。飛行機の他の部品はベオグラード博物館展示され、当時のミロセビッチ政権は日常的に獲得した装備を中国、ロシアと分かち合っていた」と報じた。この情報が正しければ「殲20」の技術レベルは米国のステルス戦闘機の水準に近い可能性がある。
 重要なことは現在及び将来の中国は昔のように日本より劣る中国でない。日本は昔の認識を捨て、より強い中国に対する戦略を持つ必要がある。
 

脚注
 
注1 http://www.nytimes.com/2011/01/21/us/21iht-letter21.html?scp=1&sq=Immelt%20china&st=Search
 
注2 http://www.washingtontimes.com/news/2010/nov/14/chinese-missiles-can-ravage-us-bases/?page=2
 
   
   
   
 

 

 

 

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更新日:2012/09/15