9月24日付英国エコノミスト誌は「2020年から2026年の間に中国は国民総生産で米国を抜く」と報じた。多分そうなるだろう。
しかし同時にこの時でも国民一人当たりの収入は西側先進国の四分の一程度である。歴史上覇権国は国民も豊かだが、国民一人当たりのレベルは極めて低い覇権国が登場する。
中国は幾つかの問題点を抱えている。ここでは三つ紹介したい。社会格差と環境問題と腐敗である。
社会における所得分配の不平等さを測る指標にジニ係数がある。係数の範囲は0から1で、係数の値が0に近いほど格差が少ない状態で、社会騒乱多発の警戒ラインは、0.4と言われている。6月30日付中国網日本語版は「中国のジニ係数、本当に警戒ラインを超えたのか」の論評を掲載した。「ジニ係数が0.5を超えると、富が過度に集中し、社会の安定が危ぶまれるとされている。新華社の研究員が2007年に中国のジニ係数は0.48に上がり、ここ2年で0.5を上回ったという文章を発表した。」
中国の貧富の差の格差は社会不安を引き起こすレベルに達している。
次に環境問題を見て見よう。
王緝思・北京大学国際関係学院院長は著書『日米中トライアングル』で次の記述をした。「世界で最も汚染されている20都市のうち、16都市は中国にある。また中国の河川の54%以上が人間に有害な汚染物質を含んでおり、11億5千万人以上が安全でない水を飲まなければならない状態である」「公式な報告書によると2004年の環境汚染による経済的影響は7000億ドルになっており、中国のGDPの3%を超える数字である。」
次に腐敗を見て見たい。ある調査機関が発表した「腐敗度インデックス2010(1から10で数字が低いほど腐敗度が高い)で中国は3.5である。国際的に見ると、この腐敗度は相当高い数字である。ちなみに、世界のその他の国がどういう数字か見て見たい。
デンマーク(9.3)、カナダ(8.9)、ドイツ(7.9)、日本(7.8)、米国(7.1)、トルコ(4.4)イタリア(3.9)、タイ(3.6)、インドネシア(2.8)、フィリピン(2.4)である。
こうしてみると、中国は経済発展し、国全体として見ると、世界で最も巨大な国になりつつあるが、同時に国内を見ると、貧富の差や汚職や環境の汚染で、深刻な問題を抱えている。
所得格差を示すジニ係数を見ていると、実は日本ではここ20-30年の間に次第次第に貧富の差が拡大していることが解る。
たまたまあるブログを見ると次の数字が紹介されていた。
1980年 - 0.265
1990年 - 0.295
2000年 - 0.314
2005年 - 0.323
CIAのFACTBOOKは、米国0.45、日本0.37、英国0.34、仏0.32、独0.27と示している。
私は、日本は格差の少ない国と思っていた。間違っていたようだ。この格差拡大が望ましい現象か否か論議が必要のようだ。
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