William S. Holdsworth, Charles Dickens as a Legal
Historian. Yale University Press,
(1929). その79頁には、「荒涼館の第3章に描かれた大法官がLord
Lyndhurstであるとすると、ここに描かれた場面は1827年頃のことであり、Lord
LyndhurstがLord
Eldonの後継者として大法官に就任した年ということになる。この時期は大法官裁判所としては最悪の時期であって、前年1826年に公刊されたChancery
Commission報告書が、大法官裁判所の恐るべき現状(a monstrous state of
affairs)を暴露したにも拘らず、立法府はその後の長期間にわたる改革に未だ着手していなかった時期である。当然のことではあるが、荒涼館が大法官裁判所の歴史に貢献した点を考慮するにあたっては、この1827年という時期を忘れてはならない。つまり、荒涼館に描かれた大法官裁判所の場面の時期と荒涼館が公刊された時期とを区別しなければならない。荒涼館は、1852年3月から1853年9月にかけて公刊されているが、この公刊時期までには、大法官裁判所の大幅な改革はすでに完了しており、さらに大幅な一連の改革が行われようとしていた時期であった。」とあります。