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大塚正民の考古学と考古学の広場

101回 信託その22:信託と税務(日米比較その17:IDGT

2015/1/1

大塚 正民

大塚正民 法律会計事務所
 

これまで数回にわたってIDGT (Intentionally Defective Grantor Trusts)に言及してきました。第89回では、「ILIT(撤回不能生命保険信託)と Crummey trustとの組合せとしてのIDGT」、第96回では、「日本では財源付生命保険信託とされるものが、アメリカでは無財源生命保険信託と同じ結果となるためのIDGT」、第99回では、「grantor trustに関する条文(Subpart E)の基となったClifford事件規則」、第100回では、「タックス・プランニングの観点からIDGTを検討しているBittker & Lokkenの見解」を取り上げました。ただし、私の知る限り、IDGTという言葉は、学者達は余り用いず(現に上記のBittker & Lokkenの見解でも、IDGTという言葉は用いていません。要は、連邦所得税、連邦贈与税、および連邦遺産税が、それぞれの目的に従って、「完全な財産移転」と「不完全な財産移転」とを区別するに当たって、その区別の境界基準が法律技術的に異なっている事実を納税者達が利用している、と述べているだけです。)、主として実務家達が用いているようです。Intentionally Defective Grantor Trusts というkey wordsでInternet検索をすると、実務家達の論稿がたくさんヒットします。
たとえば、http://www.estate-plan.com/pdf/Art_IDGT_vac.pdf (最終検索2015年1月1日)には、大要、つぎのような記述があります。
−「Grantor Trust(みなし自益信託)」は、従来は、信託の設定者達にとっては好ましくないものと考えられていた。何故なら、せっかく財産を他人に移転したのに、連邦所得税上は、その財産は引き続きその信託の設定者の所有財産であると見なされ、その財産から生ずる所得(通常所得もキャピタル・ゲインも)はすべて信託の設定者の課税所得とされるからである。ところが、連邦所得税上は、その財産は引き続きその信託の設定者の所有財産と見なされるとしても、必ずしも連邦遺産税上も、その財産が引き続きその信託の設定者の所有財産と見なされる訳ではない。それぞれの税務上の基準が異なっており、それらの基準が別個に適用されるからである。「Intentionally Defective Grantor Trust (IDGT)」とは、ワザとそれらの基準が別個に適用されることを目的として起案された信託をいう。・・・

   
   


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更新日:2014/12/31